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著作権ロンダリング

少し前になるが、DeNAが不祥事の調査報告書を発表し、「手口」の概要を明らかにした。300ページもある「調査報告書(キュレーション事業に関する件)」をざっと眺めて「著作権ロンダリング」についての記述が理解できず、もやもやとしていた。

改めて時間を措いて再読したが、やはり理解が及ばずいろいろとググってみて、マネーロンダリングほどはきれいに洗い上がらないんだなと分かった。お金の場合は紙幣に名前を書いてある訳ではないが、写真の場合は撮影者がオリジナルのデータを持っているので、足がつきやすい。要するに「ロンダリング」といっても出所が曖昧になるだけに過ぎない。

出所を曖昧にする方法としてSNSが使われるという。「著作権者許諾はないが、事業者許諾がある画像」という表現がポイント。以下、該当部分を報告書から引用する。

---引用・ここから---

事業者許諾とは、SNSの利用規約等に基づき、著作権者が当該SNS上にアップロードした画像の使用について無制限の再許諾をしている場合等に、DeNAが許諾を受けたAPI(Application Programming Interface)の仕様に沿う形で当該SNSにアップロードされている画像を使用することをいう。事業者許諾がある場合には著作権者の許諾の範囲内で画像を使用していることになるため著作権法違反の問題は生じない。

また、上記のうち(iv)に関連して、SNSにアップロードされた画像が事業者許諾の対象となることを奇貨として、違法に取得・保存した画像を一旦SNSにアップロードし、当該SNSからの事業者許諾に基づき使用することによって、適法に当該画像を使用できるかのような外観を作り出す行為を「著作権ロンダリング」ということがある。かかる行為は違法に取得・保存(すなわち、複製)した画像をSNSを迂回することによって事業者許諾がなされているかのような外観を作り出しているにすぎず、複製権侵害を構成するものと考えられる。しかし、SNSから許諾を受け、使用している各々の画像が当該SNSにアップロードされる前の段階で違法に取得・保存された画像であるかどうかを網羅的に確認することは極めて困難であり、また、当委員会による調査によっても、具体的に著作権ロンダリングが行われていた事実は認められなかったことから、本画像調査においてはかかる著作権ロンダリングの有無についてまでは確認を行っていない。

---引用・ここまで---

SNSの利用条件などじっくり読む人はいないだろうし、私も読んでいないので、まさかそんなことになっているとは気がつかなかった。「事業者許諾」があるからSNSの画像が使えるってことか。しかし、自分が撮影した写真は自分に著作権があるのは事実だし、どこにアップしようと変わらない。「事業者許諾」は単に1枚ベールを被せただけに過ぎないのに、そのベールを錦の御旗にしたかのような振る舞いには、きちんと非を指摘すべきだろう。

今日の新聞にDeNAの告知広告が出ていた。同社が閉鎖したサイトに掲載したもので著作権が侵害されていると思われるものは知らせてほしい、との主旨。いまさら消してしまったサイトを対象に該当の有無を調べるのは難しい。それよりも、こんな写真や文章をパクっていました、と白日の下に晒して批判を浴びるのが筋だろう。

 第三者委員会調査報告書の全文開示公表のお知らせ
 http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx


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